2006年に発表され、シビルを代表するヒット製品となった「ネットワン」は、初めての自社製品「RCネット工法」の改良版。RCネット工法にとってネックだったコスト面を、アイディアとコンピュータ技術の活用によって見事に克服しました。開発に3年を要し、シビルが大きくはばたくきっかけともなった、「ネットワン」の開発ストーリーを紹介します。
1998年に開発した「RCネット工法」は、従来の落石防護ネットに比べ10倍以上の性能を誇る製品で、業界に大きなインパクトを与えました。一方で、その分コストも割高。採用できる業者は限られていました。着実に着工実績を積み上げてきた中で、現場から「コストを抑えることはできないか?」と、廉価版技術を求める声が上がるようになりました。市場の反応を受けて、2004年から新たな製品の開発をスタート。目標は「コストも半分、性能も半分」となる工法の開発でした。
実験風景
RCネット工法は、「緩衝金具が落石の衝撃エネルギーを摩擦エネルギーに変換して吸収する」技術です。コスト削減には緩衝金具をはじめとした材料費を抑えることが必須です。そこで、カギとなったのがコンピュータ解析による徹底的なシミュレーションでした。開発に携わった中村さんは「コンピュータ性能の向上があったからこそ、落石に対する挙動シミュレーションが可能になりました。“動的応答解析”により、衝撃力に対する照査を行い、現場に最適な設計をすることが可能になりました」と当時を振り返ります。コンピュータ解析を武器に、新型の金網や金具の採用や、実証実験を繰り返し、生み出されたのが落石防護ネット「ネットワン」です。落石重量約10トン、落石エネルギー4,000kJに対応する性能でありながら、工費を半分とすることに成功しました。
市場も待望していた「ネットワン」は、全国各地で採用されるようになります。それまでは大手ゼネコンの下請け企業としての側面が強かったシビルですが、ネットワン開発を機に営業体制の刷新を決断しました。2008年1月に福岡営業所、12月に北海道営業所を開設。その後も各地に営業所を開設して、オリジナルの工法を武器に自ら売り込むスタイルへとシフトしたのです。その結果、着工数は一気に増加!全国各地で実績を積み重ね、落石対策のエキスパートとして業界での地位を固めていきました。
異分野から斜面防災へ参入し、固定概念にとらわれず、「オンリーワンの技術開発」と、それを支える「チャレンジ精神」を大切にして躍進してきたシビル。業界をリードするRCネットとネットワンの開発・施工を通じて、10年にも満たない間に、落石現場の現象を再現できる「大規模実験サイト」、衝撃力が加わる事例を大変形・動的応答解析にて分析する独自の「シミュレーションテクノロジー」。そして、技術の核となる「衝撃吸収装置」などオンリーワンの競争力をつけてきました。これからも挑戦を恐れず、自社ブランドにこだわり、他がマネできない価値を追求していきます。
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